2005年05月24日
仙台の飲酒運転事故
鑑定事例ではないですが,飲酒運転で思い出したこと.
近年,交通事故死者が減っていると言う統計があるそうです.
その原因として,警察庁は,飲酒運転などの重大事故厳罰化がある,としていますが,私はそうは思っていません.
そもそも,わが国では,交通事故死者として統計されるのは,事故後24時間以内に亡くなった方だけなのです.
つまり,即死か,極度の重症の場合だけです.
欧州では,交通事故に起因する死者は全部統計されます.
統計上の交通事故死者が減っているのは,近年,救急救命士制度が充実したこともあり,救急医療が進歩したのと,車の安全性が高まったので,運転者の即死者が減っただけのことなのです.
さて,飲酒運転事故について.
1997年にアメリカでひとつの死刑判決が出ました.
飲酒運転で女子大生3人をひき殺した加害者が殺人罪に問われたのです.
厳罰化と言っても,日本の場合はものすごく甘いです.最高刑が15年ですから.これが抑止効果があるとはとても思えません.
警察がグルになって,飲酒運転をもみ消した事件も3つ知っています.
正確には,「飲酒運転が相当に疑わしい」ですが.
(こんなものは,専門家が事故に至る経緯を調べればわかるのですよ.残念ながら,その場でアルコール検査をしていないので,決定的な証拠がないのです.)
アメリカと言う国は,飲酒運転そのものには寛大なんです.
私は,外資系の会社にいたこともあって,アメリカは何度も運転しています.アメリカ大陸を横断したこともあります.
もちろん,私自身はアメリカでも飲酒運転をしたことはありませんが,同僚のアメリカ人などは,節度のある範囲で運転するのを見たことはあります.
車がないと生活しにくいというのはあるのですが,飲酒運転の検問なんてまずやっていません.
そんな,交通の妨げになるようなことをすれば,渋滞や事故の原因になります.
飲酒が疑わしい,明らかにおかしな運転をしていないと,停められることはありません.
でも,それで事故を起こしたら死刑もあり得る.
日本よりよほど公益にかなっていますね.
日本の法律なんて,所詮,検挙のための法律なんです.警察の権益のための.
先の,飲酒運転をもみ消した(らしい)ケースは,いずれも,権力者の関係者(地方議員の息子とか)が起こした事故なんです.
技術士には守秘義務があって,これ以上公にはできませんが.
投稿者 suzuki : 11:50 | コメント (0) | トラックバック
2005年04月26日
JR西日本列車事故
とんでもないことになった。
事故の原因は、いずれ解明されることと思うが、JR側の発表にはいくつかの疑問点がある。
1.まず、衝突したとされる白い乗用車である。
これが脱線の原因にはまずなり得ない。
衝突と言う現象は、物体の持っている運動量の交換である。
「衝突時の衝撃力は、重量比に反比例する」と言うことがニュートンの第二法則によりわかっている。
電車の総重量がどのくらいになるかは詳しく知らないが、乗用車が1.5トンとして、その100倍以上になるだろう。
つまり、乗用車に衝突した時に列車の受ける衝撃力は、多めに見積もっても1%にすぎない。残り99%は乗用車が壊れて、弾き飛ばされる力となる。
だから、この白い乗用車は濡れ衣であると言える。
(100%と言うことはない。打ちどころが悪ければ、軽い衝撃でも大怪我をするのと同じ)
2.置石の可能性
これもほとんどありえない。
前の列車が通過してから5分程度。しかも、明るい時にわざわざ置石する者がいるとは到底思えないからである。
逆に、レール上の「粉砕痕」については、脱線した後、前の車両が跳ね上げた石を後続車が轢いた場合でも残るし、この方が可能性としては高い。
3.速度
「限界速度は133km/h」とJR側が試算し、列車の最高速度は120km/h程度であることから、速度超過の可能性は低い、と発表したらしいが、計算の過程が不明である。
仮に、この値が正しいとしても、1の、自動車との衝突の場合とは逆に、走っている車と言うのは不安定なものであり、例えば、高速から急ブレーキをかけた、など、他の要因が重なればより低い速度でも転倒する。
限界速度と言うのは、「それを超えれば確実に転倒する速度」であって、「その速度以内であれば安全」ではないのだ。
以上のJR側の発表は、私がこれまでに見てきた交通事故加害者の言い逃れと、根っこはほぼ同じなのだ。
彼らの特徴は、「ほとんど可能性のないことを挙げて、それが原因であって、自分に責任はない、と言う。
現実には、彼らの言い逃れはただの仮定であり、現実に起こる可能性は非常に低い。特に、「置石」など、誰も見てもいないもののせいにするというのが彼らの定石なのだ。