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2005年04月26日

JR西日本列車事故

とんでもないことになった。
事故の原因は、いずれ解明されることと思うが、JR側の発表にはいくつかの疑問点がある。

1.まず、衝突したとされる白い乗用車である。
これが脱線の原因にはまずなり得ない。

衝突と言う現象は、物体の持っている運動量の交換である。

「衝突時の衝撃力は、重量比に反比例する」と言うことがニュートンの第二法則によりわかっている。
電車の総重量がどのくらいになるかは詳しく知らないが、乗用車が1.5トンとして、その100倍以上になるだろう。
つまり、乗用車に衝突した時に列車の受ける衝撃力は、多めに見積もっても1%にすぎない。残り99%は乗用車が壊れて、弾き飛ばされる力となる。

だから、この白い乗用車は濡れ衣であると言える。
(100%と言うことはない。打ちどころが悪ければ、軽い衝撃でも大怪我をするのと同じ)

2.置石の可能性
これもほとんどありえない。
前の列車が通過してから5分程度。しかも、明るい時にわざわざ置石する者がいるとは到底思えないからである。

逆に、レール上の「粉砕痕」については、脱線した後、前の車両が跳ね上げた石を後続車が轢いた場合でも残るし、この方が可能性としては高い。

3.速度
「限界速度は133km/h」とJR側が試算し、列車の最高速度は120km/h程度であることから、速度超過の可能性は低い、と発表したらしいが、計算の過程が不明である。
仮に、この値が正しいとしても、1の、自動車との衝突の場合とは逆に、走っている車と言うのは不安定なものであり、例えば、高速から急ブレーキをかけた、など、他の要因が重なればより低い速度でも転倒する。
限界速度と言うのは、「それを超えれば確実に転倒する速度」であって、「その速度以内であれば安全」ではないのだ。

以上のJR側の発表は、私がこれまでに見てきた交通事故加害者の言い逃れと、根っこはほぼ同じなのだ。
彼らの特徴は、「ほとんど可能性のないことを挙げて、それが原因であって、自分に責任はない、と言う。
現実には、彼らの言い逃れはただの仮定であり、現実に起こる可能性は非常に低い。特に、「置石」など、誰も見てもいないもののせいにするというのが彼らの定石なのだ。

投稿者 suzuki : 2005年04月26日 01:06

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